台湾政府の新型コロナウイルス防疫対策のまとめ

医療用マスクについて

輸出規制を打ち出す

2003年、SARSが流行したとき、台湾ではマスク不足が深刻になり、パニックが発生した経験から、今回、台湾政府は、医療用マスクを確保するために、1月24日からの一か月間(2月14日に4月まで延長することを発表)、マスクの輸出を制限する措置を打ち出し、国内から大きく評価されましたが、一方で、新型コロナウイルスで苦しんでいる中国人を見捨てているという批判もありました。その時点では、新型コロナウイルスの感染力の恐ろしさを、まだよく知らない台湾人もたくさんいたので、他人事のように考えていたのかもしれません。

現在、輸出だけでなく、郵送も禁止されているので、ネットでの海外販売もできません。海外へ渡航する場合は、1人250枚までという持ち出し制限があります。

☛ 2020.01.26 新聞記事:台湾政府、マスクの輸出を1カ月間規制「台湾にマスクを残せ」—米華字メディア

【口罩大作戰:無比正確的限制出口政策】如果說防疫如作戰,防疫物資的生產與運送配發,就等同軍隊的軍備後勤,是打勝仗的必備條件。…

Posted by 高雄好過日 on Monday, January 27, 2020

上図のように、台湾のマスク(非医療用マスクも含む)の国内生産の最大キャパは14億枚/年です。毎年、海外から4.4億枚を輸入し、 1.8億枚を輸出しているので、1年間の最大確保可能枚数は16.6億枚となり、一日は 16.6億枚÷356日≒455万枚/1日で、台湾総人口2300万人分のマスクを確保することができません。以上のようなデータから、台湾政府は医療用マスクの輸出制限に踏み切ったのです。

医療用マスクの確保

上記のように、マスクの輸出を制限しても、まだ必要なマスク数が不足しており、台湾政府は、最前線の医療関係者や防疫関係者の安全確保のため、2020年1月31日より、医療用マスクの確保に乗り出しました (個人の医療用マスク販売の禁止) 。台湾の医療用マスクメーカーは、全部で66社ありますが、台湾政府が最初に指定したメーカーは29社だけであったため、残りのメーカーから「現状の規制下では経営できない」という苦情があり、2020年2月13日、政府の経済部は「全てのメーカーを対象とする」と訂正しました。

有中小型的口罩廠商表示,政府不應該不徵用他們的口罩,又不准他們賣? 政府立刻改善,全面徵用! 1⃣…

Posted by 經濟部 on Thursday, February 13, 2020

マスク購入時に健康保険証提示を義務付け

1月28日から1月30日の三日間、在庫と合わせて、1日600万枚の医療用マスクを「一人3枚まで」という制限付きで、全国のコンビニで販売しましたが、1月31日以降は、1日に販売できるマスクの枚数が400万枚となったため、そのうちの140万枚を医療関係者と防疫公務作業用とし、60万枚を薬局などの小売店用、残った200万枚を台湾のコンビニで販売するとしました。
コンビニでの販売は、一人一日3枚までという制限をつけて販売しましたが、一人で複数のコンビニを回ってマスクを買う人がいたため、「不公平だ」という声が上がり、政府は、その対策のため、2月6日より、医療用マスクの購入に、健康保険証ICカード(健保卡)の提示を義務付け、規定の枚数以上は購入できないようにしました。
薬局で、健康保険証を提示すれば、医療用マスクが購入できますが、一人週2枚までと制限されています。混乱を避けるため、政府は、身分証のID番号の末尾番号を元に振り分け、末尾番号が偶数の人は「火木土」、奇数の人は「月水金」、日曜日は全員購入可能と定めました。
ps. 外国人は居留証か入国許可証を提示すれば購入できます。

☛ ブログPlace in Taipeiの記事:台湾の健康保険証「健保卡」で出来ること。台湾医療は格安なのにハイレベル!
☛ 2020.02.05 中央保健センター:口罩實名制2/6上路 國人及外籍人士購買相關規定

生産キャパUPのための設備投資

前述したように、台湾の医療用マスクの生産キャパは「400万枚/1日」であるため、全員へは行き届かない状況です。そのため、台湾政府は、必要な医療用マスクの枚数を確保するために、条件付きですが、マスク生産工場への援助を決定いたしました。マスク製造会社の話では、1つの生産ラインをフル稼働した場合、一日に生産できる枚数は、最大で10万枚ぐらいなので、1日に1000万枚増産したい場合は、単純計算で、60の生産ラインが必要となります。増産費用は、約1.8億元(6.6億円)必要で、普通は生産開始までに、2-3ヶ月必要ですが、努力すれば、1ヶ月ぐらいで稼働できるとのことでした。
台湾政府の設備投資援助金交付条件:

  1. 3月2日までに稼働できること。
  2. 「120万枚/週」のマスクを政府へ無償提供すること。
  3. 「380万枚/週」は、契約した価格で提供すること。

    (契約期間についての情報は不明です。)

☛ 2020.02.05 新聞記事:政府自建口罩產線 新北3機械廠扮要角
☛ 2020.02.21 経済部のFB記事:これは奇蹟ではなく、これは台湾人みんなが団結して努力した成績!

おすすめの記事

☛ 2020.02.29 :「日本とは大違い」台湾の新型コロナ対応が爆速である理由 (President Online)
☛ 2020.02.07:【抗疫前線】首位2019新冠狀病毒病人出院背後,支撐台灣防疫網的雙手與缺口 (報導者)

2 件のコメント

    • 您好 感謝留言~~ 是的,發表這篇文章至今也2年了,疫情竟然還沒有結束…

  • コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

    ABOUTこの記事をかいた人

    日本が大好きで、日本語の勉強を頑張っている台湾女子です(笑)。 日台友好の促進と繁体字の普及のために、この“となりの台湾人”ウェブサイトを立ち上げました! 台湾華語だけでなく、台湾人の日常、流行、グルメ、旅行などなど、幅広いトピックスで書いていこうと思っています!日本語はまだまだなので、おかしい日本語があったら教えてくださいね! 宜しくお願いいたしま~す!